枕銭について

高見規宜さん

「枕銭は、日本人だけの習慣」のようです。

熊谷さんがこの欄で指摘しておられますが、私も最近、本で読んで初めて知りました。

日本の旅行業者が作り出した(ホテルに対する)迷惑料だそうです。本(海外パックツアーをVIP旅行に変える78の秘訣/実業之日本社)によると、こうであります。

1992年頃、件の日本人添乗員も知らず、カナダで現地人ガイドが「枕銭」について説明しないまま、ホテルに入ってしまったので、 「基本的なマナーなので、旅の初日には必ず説明しておかねばならないこと」として、彼を諭したところ、「そんな習慣、聞いたくとない」と言われて、まさか?と調査に及んだ結果、 「日本人だけ」と分かった。調査対象十数カ国、「ああ、日本人が決まって置いていく小銭のこと?あれって日本の習慣なんでしょ」とか、「うちのホテルは、十分に給料を払っているから、 そんな心配は不要だ」と不快な顔をされたり、ヨーロッパの国々で はほぼ同様の答えが返ってきた。では、なぜ?こんな話を聞いた。円高で海外旅行が一般化し始めた1980年代、 パック旅行では、寝巻きやサンダル履きでホテルのロビーに出入りしたり、バスタブからお湯を溢れさせ、下の部屋を水浸しにするような粗相をする日本人旅行者が多かった。 そこで旅行社は、ホテル側からのクレーム対策として、「日本人は海外旅行に不慣れなもんで、多少のことは大目に見てやってくれませんか。 客には枕元に小銭を置くように言っておきますから」というわけだ。それが日本では根付いてしまい、ガイドブックできちんと説明されているから、笑ってしまう。

私も、「欧米ではホテルのベッドメーカーもチップ(だけ)で食っている」と信じておりましたから、枕銭を置くのを忘れたことがありません。 損したような気持よりも、日本人によって欧米の軽侮をうける結果となっているような不愉快な気分です。向後、どうするか。 私は十数年来個人旅行専門で欧米しか旅行しませんから、枕銭は無駄ということになりますが、今後も、朝1ユーロか1ドルを枕元に置き続けることになりそうです。 「貰った方が嬉しい」からであります。もっとも此度知識を得たので、寝坊しがちで部屋の掃除の時間に在室することが多い私は、金が確実にベッドメーカーに渡るために、今後は掃除人その人にお金を渡そうかと思います。 パック旅行を想定した場合も、置かないと自分だけ不十分なサービスを受けるんじゃなかろうか、と却って悩ましくなります。

拙文ご静読を感謝いたします。