音格(おんかく)

 小林 透さん

耳慣れない言葉と思いますが「音格(おんかく)」というのは、私の造語です。クラシックの音楽を聴いていて、ああこの曲はモーツァルトの曲やなあ、やはりベートーヴェンの作曲だろうと推測することがあります。それは、音の流れが独特の性格を持っているからなのです。モーツァルトの曲ばかり聴いていると、どれも似たような曲調なのです。
複数のモーツァルトの曲の中に、ベートーヴェンの曲を挟んで聴くと、違和感があります。それは、作曲家の頭の中にメロディーの型みたいなものがあり、まったく別物のメロディーの型が生まれてこないのではと感じます。それは作曲家の性格が、明るく人に好感をもたれやすく、陰惨な気持ちが微塵もなく、常に軽快なウイットに富んだユーモアに溢れた、人に好かれるような人なら、その人の作る曲はいつも好感をもたれやすい曲になるのでしょう。よく妊娠中に、モーツァルトが胎教に良いからといって、いつもモーツァルトの曲を聴くというのも納得がいきます。

日本の演歌・流行歌の作曲家でも、この「音格」を感じます。古賀政男の曲は、どれも同じメロディーラインによって作曲されたもので、いわゆる古賀メロディーという「音格」によるものです。ほかの作曲家でもこのことが言えると思います。吉幾三の曲を聴くと、どれも同じような曲調なのです。この「音格」は、その人の頭の中には、その人特有の音楽回路が形成されているのではないかと感じざるを得ないのです。


2018.1.29