赤い棒と青い棒

                           小林 透さん

 

いつものように眠って夢路につきました。広い野原の小高い丘の中腹に小さな洞穴があったので、中に入っていきました。暗い穴の中は真っ暗で、遥か先にこの洞穴の出口が見えていました。洞穴の出口を出ると、
冬の季節なのに桜の花が満開で、花のトンネルが長く続いているのです。
その傍の草原には楽しそうにお酒を飲んだり、踊りに興じている人たちがいます。
するとその中の一人が、彼に二本の棒を渡そうとして近づいてきました。
「赤い棒と青い棒のどちらかをとってください」というので赤い方の棒を手に取り、何の棒なのかなあと、振ってみました。すると目の前には、彼が以前に参加したいと思っていた合唱団のメンバーたちが並んで立っ
ているのです。そうか、これは指揮棒なのだと思い、子供の時に母が歌ってくれた童謡の曲を思い出して、振り始めると素晴らしいハーモニーで合唱団のメンバーたちが歌いだしました。次から次へと曲の演奏が続きました。ふと青い棒が気になり、その棒を手に取って振ると、目の前には恐ろしい形相をした鬼たちが襲い掛かろうとしてきました。その手には赤い棒と青い棒を握っているのです。彼が持っている赤い棒で鬼に立ち向かい、鬼の青い棒を叩き落とすと、鬼は消えてしまいました。それでも怖くなって、急いでもと来た洞穴の中へ逃げ込んで、洞穴の入口に戻ったところで夢から覚めたのです。


2018.01.16